【先生、やめませんか?】
あなたの時間を奪う"丁寧な授業"という名の呪い
    今回の相談者
        名前: ゆい先生
        年齢: 26歳
        職業: 小学校教諭(担任3年目)
くりぱち先生、こんな悩みがあります!
くりぱち先生、こんにちは。小学校で担任をしている、ゆい(26歳)です。
丁寧で分かりやすい授業をしなきゃ、と毎日必死で準備しています。チョークを何色も使って黒板をカラフルにしたり、子どもたちが喜びそうな教材を夜なべして作ったり…。
でも、いくら頑張っても子どもたちに響いていない気がして、授業準備に追われるばかりで自分の時間が全くありません。
「丁寧な授業」って、一体誰のためのものなんでしょうか…。もう、心も体もクタクタです。
もう本当に限界です。毎日遅くまで残って、休日も教材研究。なのに、子どもたちは授業内容よりも、板書を写すのに必死な気がして…。
私の頑張りって、ただの自己満足なんじゃないかって、虚しくなってきました。
毎日お疲れさまです。そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
「丁寧な授業こそが良い授業だ」と信じて、過去の私も自分自身を追い詰めていましたから。
そうなんですか?
でも、手を抜いていると思われたくなくて。特に板書は、時間をかけて綺麗に書かないと、子どもたちのノートもぐちゃぐちゃになるんじゃないかって不安で…。
なるほど。板書の美しさが、子どもの理解に繋がるとお考えなのですね。
では、少し視点を変えてみませんか? 板書の本当の目的は、「後から見て美しい作品」を残すことではなく、「子どもの思考をリアルタイムで助けること」なんです。
思考を、助ける…ですか?
そうは言っても、やっぱり汚い字や整理されていない板書では、子どもたちも混乱するだけじゃないでしょうか。
もちろんです。ですから、全てを完璧にする必要はない、ということです。
例えば、私がやっていたのは 「使うチョークは3色まで」とルールを決めて、その時間の「めあて」と「まとめ」だけを丁寧に書くことです。
図やグラフのようなものは、あらかじめプリントで配っておけばいいんです。
めあてとまとめだけ…。それなら、少しは時間が短縮できそうです。
ええ。そうして生まれた時間で、子どもたちの表情を見たり、机の間を歩いて考え込んでいる子に声をかけたりできる。
それこそが、本当の「丁寧な授業」に繋がると思いませんか?
たしかに…。板書に集中するあまり、子どもたちの顔を見れていなかったかもしれません。
他にも、指名も悩みの種で…。全員を平等に当てようとすると、授業のテンポが悪くなってしまうんです。
「全員平等な指名」という呪いですね。
私も必死に指名計画を考えていました。でも、その時間、本当に無駄だったと気づいたんです。
無駄だなんて…。でも、当てられない子がいたら不公平だ、って保護者から言われそうで怖いです。
そのお気持ちは分かります。
ですが、指名の目的は「平等に話させること」ではなく、「クラス全体の学びを活性化させること」ですよね。
私は 「指名カード」を導入して、ランダムに当てるようにしました。「いつ当たるか分からない」という緊張感が、逆にクラスの集中力を高めてくれたんですよ。
指名カードですか!ゲーム感覚で子どもたちも楽しめそうですね。それなら不公平感も薄れるかもしれません。
あと、一番時間がかかっているのが教材作りで…。
夜なべして作った「手作り教材」ですね。
はい…。やっぱり手作りの方が愛情が伝わる気がしますし、既製品ばかりだと手抜きだと思われそうで…。
その愛情は本当に素晴らしいものです。
でも、そのせいでゆい先生が睡眠不足になり、授業中に笑顔でいられないとしたら、本末転倒だと思いませんか?
それは…。
今は、 NHK for School のような、無料で使える質の高い映像教材がたくさんあります。
市販のドリルに、自分のクラスの子に合わせた応用問題を一行「ちょい足し」するだけでも、立派なオリジナル教材ですよ。
私たちの仕事は、教材クリエイターになることではなく 、子どもたちの知的好奇心に火をつけること。そのためなら、使えるものは何でも使っていいんです。
知的好奇心に火をつける…。
そうか、私はいつの間にか「完璧な準備をすること」が目的になっていたのかもしれません。子どもたちのことを見ていなかったんですね。
大丈夫ですよ。そうやって気づけたことが、何より大きな一歩です。
ゆい先生の頑張りは、決して自己満足なんかじゃありません。ただ少し、頑張る方向を変えてみるだけです。
まとめ
「丁寧な授業をしなきゃ」という真面目な先生ほど、知らず知らずのうちに重たい鎧を着込んでしまうことがあります。
その鎧を脱ぎ捨て、授業準備を劇的に軽くするために、3つの「やめる」勇気を持ってみませんか?
- 美しい「芸術的な板書」をやめる 板書の目的は美しさではなく、子どもの思考を助けること。「めあて」と「まとめ」にポイントを絞り、子どもと対話する時間を生み出しましょう。
- 「全員平等な指名」をやめる 指名の目的は平等ではなく、学びの活性化。ランダム指名などを活用し、授業にライブ感と集中力を取り戻しましょう。
- ゼロからの「手作り教材」をやめる 先生の仕事は教材を作ることではなく、子どもの知的好奇心に火をつけること。質の高い既存の教材をうまく活用し、先生自身の心と時間の余裕を確保しましょう。
この3つをやめるだけで、あなたの時間は驚くほど増えるはずです。
そして、そこで生まれた余裕を、
本当に大切な「子ども一人ひとりと向き合う時間」に使ってみてください。
 

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